筋肉をつけるのに最も適した年齢は20代といわれています。
でも、世界的に活躍しているボディビルダーやフィジーカーには30代・40代もたくさんいます。
それってどういうことなんでしょうね?
『IRON MAN』(株式会社フィットネススポーツ)2023年5月号に掲載されていた「今さら聞けない筋トレQ&A」を、ビアマッチョの勝手な見解も踏まえて紹介していきます。
今回紹介する質問の回答者は「バズーカ岡田」の異名を持ち、日体大でも教鞭をふるう「岡田隆」さんです。
以前のQ&Aシリーズは下記の通り
Q.筋力強化に適した年齢を教えてください。
筋肉の合成に関わるホルモンであるテストステロンの分泌量を考えると、その濃度がピークになる20代が筋力強化に一番適していると考えられます。テストステロンの分泌量は30代を境に低下し始め、その割合は年に1%ほどになります。30代以降からトレーニングを始めても効果がないという訳ではないのですが、一番伸び率が高いのは20代であるというのは、読者の中でも経験のある方が多いのではないでしょうか。
筋肉の発達といえば「テストステロン」というホルモンがセットであるかのように語られます。
そのホルモンの分泌量からすると「20代が最も筋力強化に適している」といえます。
これはもう抗えない事実かな、とビアマッチョも感じております。
とはいえ、トレーニングの効果は負荷に対する適応反応の積み重ねです。
適切な負荷をかけるトレーニングと栄養・休養を掛け合わせることで、20代より強くなることは十分可能です。
天才・イチロー氏は45歳で引退しましたが、現役晩年でも「足は速くなっている」と言っていたのをご存じでしょうか。
もう磨くところが残されていないともいうべき世界のトップ選手ですら、40代にして足が速くなっている、と。
これは凄いことですよね。
気になるイチロー氏のトレーニング内容は、「高度すぎてついていけない」とダルビッシュが絶句するほどでした。
また、30代・40代でも一線で活躍するボディビルダー・パワーリフターなどもいます。
「筋力」という点ではパワーリフターが対象になるかと思います。
さらに一般レベルでみても、握力は30代後半がピークですし、40代後半でも20代前半と同水準を保てています。
つまりビアマッチョが言いたいことは、30代以降ホルモン分泌は低下するものの、イコール「筋力を伸ばせない」ではないということ。
一方で、筋肉や腱・靭帯などの軟部組織は衰えてケガのリスクが高まったり、疲労回復が遅くなったりというのはあります。
「適切な負荷」を見極めながらトレーニングをしましょう。
Q.日本人が発達させやすい筋肉は?
パワーリフティング競技を見ると、日本人は押す種目であるベンチプレスが強いことが分かります。一方で海外の選手は背中の力を使う引く種目が強い傾向にあります。日本人は外国人と比べると腕が短いため、ベンチプレスで高重量が扱いやすいですが、筋肉自体の特性ははっきりとは分かりません。一方、日本人はヒラメ筋も発達しやすいといわれています。そして多くのビルダーを見る限り、得意不得意は人によりますから自分自身を理解する事がとても大切です。
「発達」というと、筋肉の肥大を意味していると感じますので、これはひとそれぞれの「特性」といえるかなと思います。
もともと筋肉が肥大しやすい「部位」の問題もあるでしょうし、トレーニングの質(効いているかどうか)というものも非常に大きいと思います。
「自分自身を理解する事がとても大切」と言ってしまえば元も子もないように感じますが、トレーニングをやりつくした方も結局ここに行くつくということですね。
そして「筋力」という視点で見た場合には、骨格が筋力発揮のための「てこ」にもなるので、自分の骨格の特性は理解した方がいいでしょう。
岡田先生の回答に、「外国人は引く種目が強い傾向」とありましたが、これもてこで説明ができます。
ここでいう引く種目とは、「デッドリフト」を指します。
デッドリフトは股関節が支点となり、作用点はバーベルを持っている腕の付け根でもある肩の位置です。
一般的には外国人の方が足が長くて腰の位置が高い、つまり胴が短いですよね?
反対に脚が短く胴が長いのが日本人です。
ということは、股関節(支点)から肩(作用点)までの距離が長いので、より強い力が力点にかからないとバーベルを持ち上げられないということです。
ここまで話せば「骨格の特性」という真意も見えてきますね。
日本人でも、足が長くて胴が短いならデッドリフトが(骨格上)得意ということになりますし、反対に腕が長いのであればベンチプレスが苦手かもしれません。
パワーリフティングのパフォーマンスを高めたい方は、そんな特性も理解しつつトレーニングの優先順位をつけるといいかと思います。
Q.メンタルと筋肥大は関係あり?
一般的に、テストステロンの分泌量が多い人は活動的な性格になるとされます。また、筋トレを実施すると、ポジティブな気分になるとも言われています。元々活発な性格でテストステロン値が高いと予想される人は、トレーニング効果も得やすいと考えられます。たとえ自分がネガティブな人間だと感じていても、トレーニングそして筋肥大には、自分自身が持っているポテンシャルをポジティブに捉え、最大限に引き出していくことが大切な取り組みになってきます。
これはエビデンスが存在するのかどうかすら知りません。
しかし、ポジティブなときの方がトレーニング自体調子がいいし、「効果が出そうな」気持ちになります。
また、反対にトレーニングを集中して行えると、気持ちが前向きになるということも実感しております。
筋トレに限らず、運動自体にメンタルヘルスの効果があるのは一般的にも周知されておりますしね。
以前、お客様に臨床心理士という方がいましたが、その方が言うには「抗うつ薬を摂取するのと運動をするのでは、同じくらいの効果が認められる」とのこと。
薬の摂取量、運動の種類・量・頻度などが明確でないため正確には比較できませんが、ポジティブな効果があることは確かです。
また、次に述べることも科学的ではないのですが、「筋肉が落ちてしまうかも…」と心配すると筋肉は落ちやすくなるのだとか。
これはもう無理やりにでもポジティブになるしかないですね。
みんなでなかやまきんに君を目指しましょう。
おわりに
筋力強化に適した年齢は20代ということでした。
しかし、上述したように20代以降は「筋肉がつかない」ということではありません。
世界のトップクラスのアスリートでも「筋力」にフォーカスしてみれば、30代・40代で伸びているケースはありますし、「今までトレーニングなんてしてこなかった」という方であればなおさら。
ちなみにビアマッチョは、20代から30代でベンチプレスが17.5㎏ほど伸びています。
しかし加齢によって組織が衰え、ケガのリスクが高まると、当然トレーニングの強度を落とさねばなりません。
そうすると必然的に筋力は低下してくるでしょう。
でも、筋力から離れて「健康」という視点であれば、やはりコツコツと継続して活動量を高めた方がいいのです。
自分の置かれたフェーズに合わせて、目的に合ったトレーニング・運動を行いましょう。
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