スポーツやトレーニングをした後に「ストレッチ」を行うのは常識。
ところが、ストレッチの効果は「ハッキリ言って特にないと思います」という衝撃のコラムを見つけてしまいました。
『IRON MAN』(株式会社フィットネススポーツ)2023年5月号に掲載されていた「コンディショニング・ケアQ&A」に掲載されていた、阿部さゆり先生の原文も紹介いたします。
今日の常識が明日の非常識になることは少なくありません。
アイシングも組織の回復を遅らせるのでしないケースが増えてきましたね。
短いコラムではありますが、ストレッチの効果について。
ビアマッチョの愛読書、IRONMAN5月号はこちら。
以前のQ&Aシリーズは下記の通り
阿部さゆり先生のご紹介
1983年生まれ。高校卒業後、2002年に渡米。
テキサス州立大学サンマルコス校を卒業し、ATCの資格を取得したのち、フロリダ大学大学院修士号修了。
2018年6月に日本に帰国後、現在はPostural Restoration Institute(PRI)Japanの代表を務める傍ら、依頼を受けての外部向けの講習や、AZACADEMYのエビデンス監査ディレクターとしても活動。
先生と言っていますが、ビアマッチョは面識はございません。
知り合いのトレーナーの知り合いではありますが(遠い)。
Q.トレーニング後にストレッチを行うメリットは何でしょうか?
ハッキリ言って特にないと思います。ここまでの研究結果の総まとめを見てみますと、筋肉痛、可動域(ROM)、筋出力のリカバリーに対して「特に効果なし」と出ています。ひと昔前は、運動前後にスタティック(静的)ストレッチが推奨される時期もありましたが、現在では運動前の過度のスタティックストレッチは”むしろパワーや筋出力を低下させる恐れがある”、であるとか、運動後のストレッチは”何もしないのと大差ないこと”が分かっています。「ストレッチ後は身体が軽いような気がする」といった主観的な感覚という意味のみでは効果はあるのですが、生理学的指標などの観点からは、運動後は軽くバイクで有酸素などを行った方がむしろ「リカバリー効果は高い」というデータがあります。運動後の貴重な時間を使うならば、ストレッチ以外の方法で有効活用したほうが良さそうですね。
はっきりと「効果は特にないと思う」と断言しておられます。
とくに筋トレの後などは、筋肉の張りをとるためにストレッチをすることが常識とされてきました。
筋トレは筋肉を「縮める活動」なので、トレーニングで短縮してしまった筋肉を戻すためにストレッチでしっかりと伸長させる…ほとんどの方が聞いたことのある内容ではないでしょうか。
しかしその「筋肉の張り」の原因についても言及されていますが、どうやら長さは関係なく、活動によって緊張してこわばっている、というのが最新の研究結果だそうです。
そのこわばりを解くためには、呼吸エクササイズなどで緊張のスイッチを切ってあげる方がよい、と阿部先生は述べております。
一方で「主観的感覚という意味では効果はある」とも述べております。
精神やイメージが肉体に与える影響は非常に大きいので、ここは無視できないですね。
火傷をしたと思い込んで実際に水ぶくれが生じるなどという報告もあります。
軽く有酸素を行う方がリカバリー効果は高いという生理学的側面を事実として認識しつつも、主観的な感覚の部分も大いに受け止めてあげるといいのではないかと思います。
おわりに
生理学的な側面からは、ストレッチにメリットはありません。
ストレッチよりも、軽い有酸素運動をした方がリカバリー効果が高いという研究結果です。
しかし、主観的感覚という側面では効果があることもまた事実。
最終的にストレッチをばっさりと削るか、今まで通り続けるかはご自身で選ばれるとよいでしょう。
個人的には、疲労がたまるとやはりストレッチをしたくなります。
主観的感覚と言われればそれまでですが、リラックス効果や睡眠の質が上がるのを実感しております。
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