部活や体育の授業などスポーツシーンで起こるケガというと「捻挫」や「打撲」が多いのではないでしょうか?アイシングをされた、またはアイシングを処方した経験がある方も多いはず。
もはや応急処置の定番ともいえるアイシングですが、処方するメリットやデメリットも知っておくと日々の健康づくりにおいて役に立つと思います。
この記事を見て分かること。
- アイシング・RICE処置とは
- アイシングのメリット・デメリット
- 近代のアイシング事情
- アイシングまとめ
アイシングについての基礎を理解し、ケーズバイケースで対応を変えられるようになりましょう。
アイシングとは
アイシングとは、捻挫や打撲によって生じた患部を冷やすこと。
冷却スプレーを患部に吹きかけるといった簡易なものから、保冷剤・氷嚢(ひょうのう)を当てて固定する方法などがあります。
もっとも効果的といわれている方法は次の通り。氷を氷嚢やビニール袋に入れて患部に当てながら20分~30分ほど冷やします。「感覚がなくなる」状態になったら、氷を外してゆっくり感覚が戻るまで待ちます。これを何度か繰り返すというもの。
保冷剤だと「温度が低すぎる」というのが一般的です。保冷剤を使用する場合、直接患部に当てるのではなくタオルなどを巻くようにしましょう。理想は氷を使用し、気化熱を利用して患部を冷却するやり方です。
冷却スプレーは一時的に表面を冷やすだけなのであまりおすすめしません。さらに冷湿布(シップ)は、薬で冷たく感じるだけで実際に冷却するものではありませんのでご注意ください。
アイシングをする効果・目的としては、患部の炎症を抑えることです。外傷が起きた場合、その傷ついた組織を修復させる「炎症性マクロファージ」というものが湿潤します。これは組織の回復を促すと同時に、痛みや腫脹を伴う炎症反応を引き起こす原因となります。
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万が一に備えて家庭に氷のうを常備しておくのもいいかもしれませんね。もちろんレジャーや行楽の際に持参しても〇。氷は別途必要ですよ。
RICE処置とは
応急処置の方法には、広く認知されている「RICE(ライス)処置」というものがありますので、合わせて理解しましょう。RICE処置とは、アイシングも含めた応急処置の4つの段階それぞれの頭文字をとって「RICE」と名付けられている方法です。
- R…Rest(レスト:安静)
- I…Icing(アイシング:冷却)
- C…Compression(コンプレッション:圧迫)
- E…Elevation(エレベーション:挙上)
Rest(レスト:安静)
ケガをしたら、まずは安静を保つようにしましょう。患部を動かさないことが大切なので、必ずしも横になる必要はありませんが、座る・寝るなどができる場合はその方が望ましいといえます。また、心理的にもリラックスできる環境に移動できれば移動しましょう。
Icing(アイシング:冷却)
上述の通り、氷や保冷剤を利用して患部を冷却する処置です。
Compression(コンプレッション:圧迫)
患部にテーピングなどを巻いて圧迫することで、内出血などを抑えます。圧迫の強さには注意が必要で、きつすぎると血行障害や神経障害などのリスクがあります。異常な変色・しびれなどが生じたら緩めましょう。
外部に出血している場合には、血液を触接触らないよう注意しながら手で圧迫することで止血に繋がります。
Elevation(エレベーション:挙上)
患部を心臓よりも高く持ち上げます。患部への血流量を減少させることで、内出血や炎症を抑えることができます。患部によっては、挙上する際の姿勢に工夫が必要です。
アイシングのメリット・デメリット
アイシングは一般的に普及しておりますが、スポーツ現場においてはアイシングをしないケースも増えてきています。アイシングのメリットとデメリットを確認しましょう。
アイシングのメリット
上でも確認したように、アイシングの効果は炎症を抑えることです。
ケガをすると、傷ついた組織を修復させる「炎症性マクロファージ」というものが湿潤するというのは上述の通り。そして炎症性マクロファージが痛みや腫脹を伴う炎症反応を引き起こす原因となります。
アイシングをすることにより、患部への血流量が抑えられ、炎症性マクロファージの流入を低下させます。そうすることで、腫れや痛みを伴う炎症反応を軽減させることができるのです。
アイシングをしなかった場合は当然逆の反応が起きます。受傷直後も通常通りに幹部に血液が流れ、組織の修復のため炎症性マクロファージが血流にのって患部に湿潤し、腫脹や痛み、熱などを伴う炎症反応を引き起こします。
つまり、痛みや腫れに伴う、スポーツや日常生活に及ぼす影響が最大の懸念点であり、それを軽減したい場合にはアイシングをした方が良いと言えます。
アイシングのデメリット
腫れや炎症を抑えるのがアイシングのメリットです。では逆にデメリットは何かというと、「炎症性マクロファージ」の湿潤を抑制してしまうことで回復が遅くなることです。
炎症性マクロファージは腫れや痛みの原因でもありますが、「患部を治癒・修復する」ために分泌されているもの。
神戸大学のマウスを用いた実験によると、筋肉の損傷に対して施したアイシングが、筋肉の再生を遅らせることが明らかになったそう。この結果に炎症性マクロファージが関与しているということです。
アイシングの是非とスポーツ現場の例
アイシングをする場合、応急処置的な意味合いが強い場合と、メンテナンスの意味合いが強い場合とに分けられます。
例えば野球選手が投球後にアイシングをしている場面をよく見かけますが、こちらはメンテナンスの意味合いが強いケースでしょう。しかし、長い歴史の中で惰性的に残っている習慣ともいえるかもしれません。
肩や肘へのアイシング効果ついては、科学的根拠が見つかっていないようです。とはいえ高校生投手の85%はアイシングを実施しており、そのうち7割ほどは効果を実感しているというアンケート結果があります。
一方、野球の本場メジャーリーグでは徐々にアイシングをするケースが少なくなってきました。その理由は「アイシングをすることで、ケガが減少したというデータがでなかったから」ということです。
結局のところアイシングはした方が良いのかしなくても良いのか、現段階では「どちらとも言えない」状態です。
受傷後に起こる体内の反応から考えると、「回復が多少遅れても、痛みや腫れを抑制するためにアイシングをする」でも正解です。また、「痛みや腫れを我慢する代わりに、早期回復を狙う」もまた正解です。
データ重視のメジャーリーグ式にのっとるのもあり。また、高校生のアンケートにあるように効果を「実感している」のであれば、主観を大切にするのもまたありではないでしょうか。
しかし、ケガ=アイシングの構図はまだまだ一般的には正しいものと認知されているところです。よって例えば学校での体育の授業中、あるいは部活中、民間のスポーツクラブ内で起きたケガなどの場合は、応急処置としてアイシングを施すのが無難だと思います。
「アイシングをしなかった」場合、応急処置を怠ったとみなされる可能性があるかもしれません。
アイシングについてのまとめ
アイシングについてまとめです。
- メリット:炎症や腫脹を抑える。
- デメリット:自然の治癒反応を遅らせる可能性あり。
絶対の正解はなくケースバイケースで対応を変える必要も出てくるでしょう。また、経験の中で効果を実感するかどうか自問していただき、主観を大切にするのも一つの解ではないでしょうか。
記事をご覧いただいている皆様の健康やQOL向上という視点からすると、個人的にはアイシングをすることをおすすめします。
受傷直後の炎症・腫脹を抑え、ストレスを軽減することに務めましょう。その後患部を保温・ストレッチをするなど状態に合わせて対応を切り替えていけば良いと思います。
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