肥満体型、特に内臓脂肪型の肥満は全ての生活習慣病の引き金になる可能性を秘めています。健康の3要素「運動・栄養・休養」のうち、肥満に関わるのは運動と栄養です。この2つの視点から肥満解消を紐解きます。
ご自身の体脂肪が気になる方は少なくないはず。いくつものダイエットを実際に試された方もいるのではないでしょうか。
無理のないダイエットのペースは、一般的に「1か月に1㎏」といわれています。もともとの体型によっても大きく差があるのですが、これ以上に早いペースでダイエットをしてしまうと、カラダにとって大切な筋肉が落ちてしまうことも。
短期間集中型のダイエットは少なからずカラダに負担がかかりますし、リバウンドのリスクもあります。長い目でみて、無理のないペースでのダイエットに挑戦してみましょう。
この記事を見て分かること。
- 日本の肥満率
- 肥満の危険性
- 体脂肪1㎏あたりのエネルギー量
- 1日に減らしたいカロリー:運動の場合
- 1日に減らしたいカロリー:食事の場合
1か月1㎏のダイエットは、1日1日のマイナスをコツコツと重ねていけばそれほど大変なものではありません。どのくらいの運動や食事制限をすればよいのか理解して、無理なく健康を手に入れましょう。
日本の肥満率
肥満大国といわれているアメリカの肥満率は約50%、じつに国民の半数が肥満だそうです。しかも、日本人では考えられないような規格外の肥満体型が多いのです。
その点、日本はというと、令和元年のデータですが男性の33%、女性は22.3%が肥満とされています。アメリカと比較するとその割合は非常に少ないです。
年代別・性別にみると最も肥満率が高いのが40代男性で39.7%、続いて50代女性が39.2%、一番高い区分でもアメリカよりは低い肥満率となっています。
しかし、安心はしていられません。肥満率の推移を見てみると、ほぼ横ばいを保ちながらではありますが、ここ数年で徐々に増加傾向にあるのです。
肥満の危険性
肥満になると何が悪いのでしょう。じつは肥満は、たくさんの病気を招く要因となっているのです。
糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病と肥満はおおいに関係しており、これらの病気が重複して発症するメタボリックシンドロームとも関わりがあります。
肥満を放置することでこれらの生活習慣病を悪化させ、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中など重大な病気を招く恐れがあります。
また、外科的な疾患とも関連性があります。人間は誰しも加齢とともに筋肉量が減少し、骨密度が低下することで、カラダを支える力が弱くなります。
そこに肥満が加わることで、骨や関節の負担が大きくなり、下半身の関節障害を引き起こしやすくなります。
また、転倒するなど急に大きな負担が加わることで骨折をすることも少なくありません。
睡眠時無呼吸症候群や、多くのがんのリスクを高めることも指摘されています。
ケガや病気のリスクを高めるのが肥満なのです。よって、肥満を放置することなく、少しでも解消できるように日々の小さな積み重ねをするべきだと思います。
体脂肪1㎏あたりのエネルギー量
体脂肪は1㎏あたり約7000㎉の熱量をもっています。つまり7000㎉消費することが出来れば、-1㎏のダイエットができるということです(実際には体脂肪だけを減らすことはほぼ不可能ですが)。
理想のダイエットのペースといわれている「1か月で1㎏の減量」を考えると、7000㎉を30日で分割することになるので、1日当たり≒240㎉ずつ減少させればよいということです。
「そんな単純にはいかない!」という声が聞こえてきそうですね。確かに人間のカラダはそんなに単純ではないのですが、数値でとらえるのはとても良いことです。
今のあなたのカラダは、あなたの生活習慣の結果からできています。たくさん運動した日、暴飲暴食した日、食事をしなかった日などバラつきはあるでしょう。それでもあなたの平均的な生活習慣が今のカラダを作り上げているのです。
その生活習慣から、日々240㎉ずつマイナスにしていけば、理論的には1か月後に1㎏の減量が達成できているはずです。
1日のカロリー減の目安
では、1日に減らすべきエネルギーの目標値である240㎉とは、運動や食事で例えるとどの程度なのでしょうか。
(※運動については、体重60㎏の方を想定して割り出しています)
運動で240㎉消費する場合
種類 | 強度 |
ウォーキング | 時速5㎞(少し早め)で70分 |
ジョギング | 時速8㎞で27分 |
自転車をこぐ | 時速15㎞で39分 |
クロール | 25Mを30秒~35秒ペースで24分 |
スクワット・腕立て伏せ | 約600回(やり方で大きく異なる) |
運動だけで240㎉を消費するのは、慣れていない方にとっては少しハードルが高い気がしますね。ジョギングやクロールであれば30分かからず消費できます。
まとめて30分の運動が大変であれば、10分を3回に分けて実施する形でも大丈夫です。通勤の手段や、「ながら運動」を上手に活用していきましょう。
食事で240㎉抑える場合
品目 | 量 |
ごはん(炊いたもの) | 140g(やや少なめ) |
ラーメン | 0.5人前 |
チロルチョコ | 4.8個分 |
カットケーキ | 0.6個分 |
ポテトチップス | 0.7袋分 |
コカ・コーラ | 500ml1本分 |
ビール | レギュラー缶1.5本分 |
一方で、摂取しているカロリーを抑えるのは簡単な気がしませんか。飲み物をジュースからお茶系に変える。ついつい食べてしまうお菓子を少しずつ我慢する。これだけで240㎉を減らすことができます。
普段の食習慣を振り返ってみて、削れそうな部分にテコ入れしてみましょう。きっと無駄に摂取しているカロリーが見えてくるはずです。
運動と食事を組み合わせる
今現在の生活習慣のベースから、240㎉をマイナスする。それを実現するには「運動だけ」「食事だけ」ではなく組み合わせてもいいのです。
そう考えると、1日あたり240㎉をマイナスにしていくのはそれほど大変ではないと感じませんか。運動時間は半分になりますし、食事を我慢する量も半分になります。
運動が苦手な方や女性の方は、食事制限のみのダイエットに意識が向きやすい傾向にあります。しかし健康産業に従事する人間としては、食事制限だけではなく運動は積極的に取り入れていただきたいところです。
スポーツと違い、トレーニングや健康づくりのための運動では「運動神経」は必要ありません。運動を苦手としてきた方でも、そういう意味では大丈夫です。
人間のカラダは「動かない」ことをストレスに感じます。使わない能力は淘汰されていきますので、筋力や持久力なども下降する一方。それに抗うには運動をする以外にありません。
例えば1日の中で、意味もなくぼんやりと過ごしてしまっている時間はありませんか。まずはそのような時間を、健康づくりのための生産的な活動にあててみましょう。
もちろん必要以上に食べてしまっている自覚がある方は、そこを我慢する努力も忘れずに。
まとめ
体脂肪は1㎏あたり約7000kcalの熱量を持っています。理想のダイエットのペースは「1か月1㎏」なので、1日あたり-240kcalを目標設定にしましょう。
内臓型の肥満は生活習慣病の引き金になりますし、膝や腰へも大きな負担をかけてしまいます。バキバキの絞れたカラダを手にする必要はありませんので、いつまでも健康で長生きするためにも肥満解消につとめましょう。
運動で-240kcal、食事で-240kcalどちらでも大丈夫です。一度ご自身の生活習慣を振り返ってみてテコ入れしやすい部分にチャレンジしてみましょう。もちろん両方実施する方が効果的ですし簡単でもあります。
まずはご自身の生活習慣を自覚するところから始めて、無理のない一歩を踏み出してみましょう。
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