寒い冬、動物はカラダに脂肪をたくわえます。運動をしても汗をかきにくく、体脂肪が燃焼している実感がわきにくいこともあり、「冬は太りやすい」と思っている方が多いのですが、あなたはどうですか。
じつはそれは真っ赤な「ウソ」だったのです。基礎代謝の季節変動からその理由を説明します。
寒い冬は「太りやすい」イメージがありますが、ちょっと待った!!それは勝手な思い込みかも知れませんよ。基礎代謝という視点から紐解いていきましょう。
この記事を見て分かること。
基礎代謝の年間変動
冬が太りやすい理由
冬太りにならないためのポイント
運動不足やエネルギーの過剰摂取による「内蔵型肥満」は生活習慣病を招き、やがて重大な血管疾患などにつながります。
いつまでも健康で、QOLの質が高い状態を維持するためにも、手遅れになる前に行動を起こしましょう。
基礎代謝とは
「基礎代謝」という言葉を聞いたことはありますか。基礎代謝を分かりやすく説明すると、「何もせずに安静にしていも消費するエネルギー」のこと。
健康産業の方向けに正確にお伝えすると「仰臥位(あおむけ)で肉体的・精神的に安静であり、かつ睡眠状態ではないときのエネルギー消費量」です。
※身長・体重によって大きく変動します。
性別
年齢(歳) |
男性:基礎代謝量
(kcal/日) |
女性:基礎代謝量
(kcal/日) |
10~11 | 1330 | 1240 |
12~14 | 1550 | 1350 |
15~17 | 1570 | 1270 |
18~29 | 1520 | 1180 |
30~49 | 1520 | 1140 |
50~69 | 1380 | 1100 |
70歳以上 | 1230 | 1030 |
何もせずにじっとしている状態でも、自律神経の働きによって心臓は動き血液は循環し、細胞は代謝を繰り返しています。これらの生命活動のため、エネルギーは常に消費され続けているのです。
男性では、15~17歳のときに基礎代謝がもっとも高くなるのに対し女性は12~14歳のとき、これは成長期の訪れるタイミングの違いであると思われます。
1日に1500kcal程度は、何もしなくてもエネルギーが消費されます。加えて、「活動代謝」という運動や仕事をすることで消費されるエネルギーを加算することで1日の総消費エネルギー量が決まります。
基礎代謝は、年齢や筋肉量などである程度決まっているので、1個体が数日単位で大きく変動することはありません。
ちなみにその消費量は、筋肉で18%、肝臓が27%、脳も19%と、この3つの器官で60%以上のエネルギーを消費しています。
思考するだけの脳が19%というのは驚きですね。
少し話がそれますが、人は思い悩みストレスを抱えることで、ネガティブ思考が頭の中をグルグル回ります。
答えの出ない問題に必要以上にとらわれたり、解決策が出てきたと思っても自信がなくてまたふりだしに戻り、同じ思考をループしてしまう。こんな経験をした方はいるのではないでしょうか。
ただでさえ基礎代謝の19%を占める脳が、ネガティブ思考でグルグル働かされ続けたとき、そのエネルギーの消費量たるや相当なものになるのです。さらに悩みのせいで眠れず睡眠不足となれば、脳もカラダも十分な休息がとれません。
自律神経が乱れ、カラダに不調をきたすのは当然です。
「不安の9割は実現しない」と言われますので、考えるのをやめて「なるようになるさ」と開き直った方がいいときもあるのです。
基礎代謝の季節変動
この基礎代謝ですが、「1個体が数日単位で大きく変動することはない」と前述したものの、年間を通してみると大きな変動が見られます。
少し古いデータではありますが、「島岡章氏ら『基礎代謝の季節変動について』(1987年)という文献によると、1番基礎代謝の低い10月ともっとも高い4月を比較すると、じつに11%もの年間変動が見られるようです。
10月から基礎代謝が右肩上がりに増加する理由としては、寒さに対して体温を維持しようという適応反応によって、熱がつくられるためとされています。
基礎代謝が上がる=ダイエットの効果が上がるというのは無理のない理論かと思います。
11%…数字にすると165kcalほどになりますが、これはおにぎり1個分のエネルギーに相当します。何もしなくても勝手におにぎり1個分のエネルギーを消費してくれているのですから、確かにダイエットにはいい時期ですね。
なぜ冬は太りやすいのか
寒い時期に基礎代謝が上がるのに、実感として「冬は太りやすい」というのはあると思います。
その原因として考えられることはいくつかあります。しかし、科学的な根拠があるわけではありません。あくまでも「傾向」として自分自身にもあてはまるかチェックしてみてください。
理由その1:運動量が落ちる
ただでさえ寒い冬ですが、天気が悪いことや強い風が吹く日も多くあります。そうなると当然ながら外出の機会が減少し、自宅にひきこもりがちに。
家の中にいても、なるべく暖かい環境の中で過ごすよう活動スペースが狭くなったり活動頻度が減少しがちです。
コタツに入ってテレビでも見ようものなら、口寂しさからついつい食べ物に手が伸びてしまい、摂取エネルギーは増えてしまう…。
きっとほとんどの方が共感できるのではないでしょうか。
消費エネルギーが減少して、摂取エネルギーが増加する、ダイエットと真逆の行動をしがちなのが冬なのです。こうなると165kcal分を±0どころか、一気にオーバーカロリーに。
理由その2:美味しいものを食べる機会が多い
冬の期間中でも限定的ではありますが、クリスマスから年末年始にかけては、1年の中でもイベントがとくに集中する時期です。
クリスマス・忘年会・新年会などを含めると、仕事で関わる人が多い方であれば、ほぼ1か月、週1~2回のペースでイベントづくしなのでは。
外食はただでさえ摂取エネルギーが多くなります。それに加えアルコールを摂取すると食欲が加速して確実にオーバーカロリーに。さらにそんな状態が1か月も続くとなると…いやはや恐ろしい事態です。
理由その3:ボディラインが隠れ、意識がうすれがち
冬は寒いため、衣類を重ね着します。
夏の暑い時期に、イヤでも目に入っていたボディラインが、衣服によって隠れてしまうのです。
薄着であれば、鏡や窓ガラスに映る自分のボディラインを無意識にでも見てしまい、気を付けようとするものなのです(気にしない方もいますが)。また、「周りの人の視線」を意識することも多いでしょう。
その機会が奪われることによって、もともと美に対する意識の高い方でもつい気が緩んでしまうこともあるのです。あまり意識していない方であればなおさら。
冬に太らないためのポイント
冬は、寒さのせいで活動量が減少することに加え、イベントごとが多いために摂取エネルギーがついつい増えがちなことが分かりました。
そのことを自覚し、太らないための工夫をしていきましょう。
日常生活での活動量を増やす
日常生活の中に取り入れられる小さな活動を、工夫して積み重ねていきましょう。
オフィスやマンションなどでなるべく階段を使用する、家事をしている最中にかかとを上げてみる、などできそうな工夫で大丈夫です。
ジムに通うなどの習慣ができている方であれば、頻度を増やしたりほんの少し時間を長くするなど、冬の間だけでも挑戦してみてください。
家の中でできることもたくさんあります。自分の体重を利用した「スクワット」「腕立て伏せ」など、しっかりとしたエクササイズもありますし、横になってテレビを見ながら脚を上下に動かしてお尻の筋肉を動かす「ながら運動」だっていいわけです。
できそうなものを取り入れてみましょう。
食事量を調整する
食べ過ぎてしまった次の日などは、意識して食事量を減らしてみましょう。
「ご飯の量を半分にする」「1食シリアルに変える」「1食プロテインに置き換える」いくらでもできそうですね。
食事を「抜く」ことはあまりおすすめしません。空腹状態が長く続くと、カラダは飢餓状態を回避するモードに変換します。そうすると次の食事の時に、栄養素をカラダにたくさん貯えようとしてしまうのです。
まとめ
冬が太りやすいのは、「ウソ」です。基礎代謝という観点からすると、むしろエネルギーを消費して痩せやすいのが冬なのです。
しかし、寒さであったり、季節的にイベントごとが重なるなど、「太りやすい環境におちいりやすい」のは事実でもあります。
活動量が減少しやすい冬だからこそ、日常生活の中にちょっとした工夫を盛り込み、食べ過ぎたら翌日に調整するなど、「運動」「栄養」2つの点で冬太りを防いでいきましょう。
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