「体幹」と聞いて、はっきりと場所が分かる方はいますか。
また、体幹の役割はどのようなものでしょうか。
ある人がぎっくり腰になった時のエピソードを交えながら紹介いたします。
私の同僚がかなり重い「ぎっくり腰」になった時のエピソードを紹介します。トレーナーなどの運動指導者にとっては興味深い内容課と思います!
Oさんのぎっくり腰エピソード
ある日の朝、Oさんは突然のぎっくり腰に見舞われました。
ぎっくり腰…西洋でいう「魔女の一撃」。
Oさんは、最強クラスの魔女の一撃を食らってしまい、その場で一歩も動けないほどだったそうです。電話で救急車を要請しつつ、同じく一つ屋根の下の家族に電話。
ご家族は、「なぜ家にいるはずのOから電話??」と、クエスチョンマークがくるくるしていたそうです。
家族と救急隊の力を借りて、痛みをこらえながらなんとか搬送。
病院から帰ってきた後は、仰向けでひたすら安静状態に…。
似たような経験がある方もいるのではないでしょうか。
前置きが長くなりましたが、興味深い話はここからです。
Oさん曰く、「仰向けで寝ているときに、肘から先を持ち上げるには何ともない。でも腕全体を持ち上げようとすると、腰に激痛が走るんだ」
その動作に体幹が使われているのかどうかが、はっきりと分かる証言でした。
後ほど、2つの動きの違いを説明しますね。
体幹、その働き
体幹とは、つまり胴体部分のことを指します。
資格や競技団体によって、解釈や定義が多少変動するのですが、ある資格団体では「頭部/胴体部/肩甲帯/股関節」と定義しております。
頭から股関節、つまり臀部までが体幹なのでかなり広い範囲です。
体幹の中でも、インナーユニット・アウターユニットなど筋肉と役割によって分けられておりますが、この辺りはまた別な記事で紹介することにします。
さて、この体幹ですが大きな役割としては、「機能的に、そしてパワフルに手足を動かすための土台」となることです。
フィードフォワードシステムというのですが、手足を動かすときには、まず体幹の姿勢を安定させる筋群が働いて土台をつくる。その後、手足がダイナミックに動く、という順番があるのです。
そして、例えば強いシュートを打つ時にはキックをする脚がパワフルに動く必要がありますが、脚をパワフルに動かすためには、その脚のパワーでもブレない強い体幹が必要なのですね。
つまり、アスリートが競技パフォーマンスを高めるためには強い体幹が必要。一般の方でも、手足を動かすときには必ず体幹が働くので、鍛えておけばいいことづくめです。
Oさんに何が起きていたか
ここで先ほどのOさんのエピソードに戻ります。
肘から先を動かしたときには痛みを感じなかったOさん。
仰向け状態で寝ているわけですから、肘から先を動かしたときには、肘の骨が支点となることで体幹を安定させる必要がなかったため、痛みを感じませんでした。
しかし、腕全体を動かそうとしたときには、フィードフォワードシステムが働き、体幹を安定させる力が働いたので腰に激痛が走ったのです。
「仰向け状態で腕を持ち上げる」。
たったこれだけの動作でも、体幹はしっかりと働いているということがよく分かります。
バットやクラブを振る、ボールを投げる・蹴る、片足でバランスをとる、ジャンプをする。
これらの何気ない動作でどれほどパワフルに体幹が働いてくれているか、想像に難くないでしょう。
体幹が弱くなると、手足への力の伝達も弱くなります。
それはつまり、バランス能力や立ちながらの動作の質が著しく低下することに繋がります。
日常生活を送ることが困難になってしまうほど低体力になってからでは遅いので、そうなる前に日々健康へ向けての活動を取り入れましょう。
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