体幹トレーニングは、アスリートだけのものではなく、誰もが取り入れた方がよいトレーニングです。
なぜなら、歩く・走る・しゃがむ・洗濯ものを干すなどの簡単な日常生活動作にも体幹は使われるからです。
そのことがよく分かるエピソードは下記をご覧ください。
「体幹トレーニング」はかなり一般的になってきました。しかし「トレーニング」と表現されるため、やはり敷居が高く感じてしまうもの…。高齢者や運動初心者でもできる種目があるので、ぜひチャレンジしてみましょう!
手足を動かす土台となるのが「体幹」です。
体幹が強くなることで、日常生活での動作の質が向上しますので、QOL(=生活の質)向上に直結します。
その体幹を強化するためのトレーニングが体幹トレーニングですが、今回は基礎種目の3つを実際にやってみましょう。
体幹とその役割について
体幹の基礎トレーニングに入る前に、体幹とその役割、そしてトレーニングをする際の正しい姿勢について簡単に触れたいと思います。
体幹とは
体幹は、資格や競技団体によって定義が分かれるものの、「頭部/肩甲帯/胴体部/臀部」とされており、手足を除くそのほとんどが体幹です。
体幹の中でもさらに中心部分に位置し、「コア」と呼ばれることもあるインナーユニット。そして動作の安定性を担うアウターユニットに分けられます。
体幹の役割とは
体幹の役割とは、「姿勢の安定」や「手足を動かすための土台」となる働きを担うことです。
前述したインナーユニットとアウターユニットでその役割の異なる部分もあります。
インナーユニットは、腹圧を高めることで正しい姿勢を保ち、力の伝達をスムーズにする役割を担います。
もうひとつは、腹圧を高める事で、骨盤周りや背骨を正しい位置に安定させてくれる働きです。
それに対しアウターユニットは、とくに「動作において起こる圧力」に対して骨盤帯を安定させる役割があります。
このあたりは下記の記事で詳しく触れてますので、勉強したい方はぜひご覧ください。
正しい姿勢について
直立の状態でイメージしてみましょう。
まずは重心の位置が、足の中心部(土踏まずの真ん中)にあること。
その状態で、背中に長いバーを当て(たとイメージして)、①後頭部、②肩甲骨の真ん中、③仙骨の3点がバーに接地しており、さらに首の後ろと腰の後ろに手のひら1枚分の隙間がある状態です。
この状態の体幹部をピラー(=柱)と表現することもあります。
例えばスクワットでも腕立て伏せでもジャンプをするときでも、このピラーをキープすることが基本であり究極です。
体幹トレーニング3つの基礎種目
体幹トレーニングと言っても、その種類は膨大です。強度・難度もピンからキリまで。
その中から、基本中の基本ともいえる大切な種目を3種目ピックアップしました。
正しい姿勢が理解できましたら、このあとのエクササイズでは常にその姿勢を保つよう意識しましょう。
それができるかどうかで、ケガのリスクやトレーニングの効果に影響があります。
では、基礎=初級編の体幹トレーニングスタート。
①ピラーブリッジ
1種目目は「ピラーブリッジ」といって、カラダの前面に位置する体幹を鍛えるトレーニングです。
プランクといった方が分かりやすい方もいるかと思いますが、今回は目的が、動作の質を高めるための体幹トレーニングなので、プランクとの違いもお伝えしていきます。
※頸椎が180度回旋してます
【手順】
- うつ伏せになり、肩の真下に肘がくるようにする
- 脚は骨盤の幅に開き、つま先をしっかりと立てる
- 肘で床をしっかりと押し返し、肩甲骨が抜けないようにする
- ピラーを保ちながら、骨盤を持ち上げる
つま先だとキツイという方は、膝をついて強度を落としましょう。
※頸椎が正常に戻りました
膝をついた場合、頭から膝までが一直線になるように気を付けます。
この姿勢で30秒~1分キープできるようにしましょう。
1分できるようになったら、それ以上時間を延ばすだけだと時間が無駄なので、より強度の高い応用編に移行します。
※応用編、記事が出来次第アップします。
正しい姿勢、ピラーを保つことに大きな意味があります。常に背中にバーが乗っているイメージを持ちながらキープしましょう。
ここでプランクとの違いですが、プランクは「腹筋」にフォーカスしたトレーニングとなります。
腹筋により効率よく負荷をかけるためには、骨盤の後傾&背中を丸くする必要があります。
腹直筋が収縮するということは、背骨が屈曲(=丸くなる)し、骨盤は後傾(怯えた犬がしっぽをしまうような動き)するからです。
「腹筋に効かせるか」それとも「機能的に体幹を強化するか」という目的の違いによって使い分けがされるので、どちらも形としては正解です。
②グルートブリッジ
2種目目は「グルートブリッジ」です。カラダの後面に位置する体幹を鍛えるトレーニングです。
猫背や円背姿勢の改善・予防にも役立ちます。
グルートというのは「お尻」のことであり、体幹の定義である臀部=股関節を上手に使うことが大切です。
【手順】
- 仰向けになり両膝を曲げる。(お尻とかかとの距離は手の平くらい)
- 指先を天井に向け、かかとに体重を乗せる
- 床を真っすぐ下に蹴り、ピラーを保ちながら骨盤を高く持ち上げる
- 肋骨を閉じて、腹圧を高めた状態をキープ
腕を上げるときつい方は、カラダの横においてサポートしましょう。その際、手に体重をかけすぎないように気を付けましょう。
膝・腰・肩までのラインが一直線になるようにします。
そのためには、しっかりと地面を蹴って骨盤を高く持ち上げる必要があります。
しかし、骨盤を上げることを意識すると、肋骨がひらいて腹圧が抜けやすいので注意。
ピラーブリッジと比較すると楽に感じる種目ですが、こちらも30秒~1分を目安にして実施しましょう。
1分以上できる場合には、難易度・強度ともにあげた次のステップに入ります。
※グルートブリッジ応用編も後日記事が出来たらリンク貼ります。
③サイドブリッジ
前・後ろときたら最後は横です。
スポーツの場面では、例えば横からのあたりに負けない踏ん張りが効かせられるようになったり、日常生活でいうと単純に片足で立つときのバランス力向上などに役立ちます。
【手順】
- 横向きに寝て、肩の真下に肘を置く
- 首を長くし、視線を遠くに向けたら、肘で床をおして骨盤を浮かせる
- ピラーを意識すると同時に、カラダの真ん中(正中線)のラインも一直線にする
- 上の腕は両肩の延長線上に伸ばす
強度を落とすパターンとしては、片足を曲げるパターン、または両足とも曲げて膝で支えるパターン。
片腕でカラダを支えるので、腕や肩がきついです。とくに女性の方は大変だと思うので、そのときには上の腕を下ろしてサポートしましょう。
股関節からカラダがくの字に曲がりやすいので注意してください。
カラダを前から見ても一直線、横から見ても一直線が正解の形です。
片手でカラダを支えるサイドブリッジは、目安として20秒~30秒程度実施しましょう。
それでもやり始めの頃はきつく感じると思います。
※サイドブリッジも応用編を用意しますのでお楽しみに。
おわりに
体幹トレーニングは、手足をより機能的に、そしてパワフルに動かすための土台を作るトレーニングです。
体幹は、日常生活のあらゆる動作、スポーツのさまざまなシーンで働きます。
より強く・早く手足を動かすときにはその分しっかりとした強い体幹が求められますので、パフォーマンスを高めたい方はぜひ取り入れてください。
スポーツやトレーニングをしていない方でも、体幹トレーニングをすることで「掃除をする」「洗濯ものを干す」などの日常生活動作が楽になるはずです。
体幹トレーニングがすべてではありません。
しかし、土台のしっかりしていない建物が地震で崩れやすいように、体幹がしっかりしていない肉体は、手足の機能を活かしきれません。
パフォーマンスを上げるためにも、ご自身のQOLを向上させるためにも、体幹トレーニングを取り入れてみてください。
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