ロコモティブシンドロームって聞いたことありますか?
訳すと「運動器症候群」というものでして、ロコモなどと略されることもあります。
じつはこの「ロコモ」、高齢化の進む日本においては切っても切り離せないものなのです。
ロコモのことを知り、健康な100年を過ごしましょう。
ロコモティブシンドローム
ロコモとは、運動器の障害のために移動能力に低下をきたして、要介護やそれに近い危険な状態をいいます。
ここでいう運動器とは、筋肉や骨、関節などのことを指します。
これらの運動器に異常が起こると、歩行や日常動作に何らかの障害をきたし、不便な日常生活を強いられることになります。
いつまでも自立した生活を行い、自分の脚で歩き続けていくためには、ロコモを予防し、健康寿命を延ばしていくことが大切なのです。
ロコモティブシンドロームの原因
加齢に伴う運動器の変化が根源ですが、大きく分けると2つの原因が挙げられます。
運動器不全や運動機能の低下
筋力、持久力、バランス能力、巧緻性、運動速度などの低下や、反応時間の遅延に伴う運動機能低下があります。
正常な身体活動を行うための筋力や持久力、バランス能力などは加齢に伴い低下していき、それが運動機能の低下を引き起こすことがあるのです。
ある程度年齢を重ねた方であれば実感があるはず。
腕の筋力は比較的維持されやすいものですが、脚の筋力は30代と比較して70代だと40%ほどに低下しているといわれます。
また、関節などに起こる痛みは運動不足を招き、それがロコモを加速させることにも繋がります。
加齢に伴う運動器自体の疾患
変形性関節症、骨粗しょう症、脊柱管狭窄症などの関節や骨に異常をきたす病気は、年齢を重ねるごとに発症リスクが高まります。
これらの病気によって患部に痛みや腫脹が起きます。
また、それに加えて骨や関節の変形などを引き起こし、正常な関節運動ができなくなる恐れがあるのです。
それ自体が運動機能の低下を招く原因になるだけでなく、ますます運動不足を引き起こすことになるのです。
健康な状態から要支援・要介護に至るまで、移動能力はひそかに衰えていきます。
少しずつ進行する移動能力の低下に気付きましょう。
ロコモティブシンドロームチェック
7つのチェック項目があります。
1つでも当てはまるとロコモティブシンドロームの可能性がありますので、ぜひセルフチェックしてみてください。
☑ 家の中でつまづいたり滑ったりする。
☑ 階段を上るのに手すりが必要である。
☑ 家のやや重い仕事が困難である。(布団の上げ下ろし、掃除機の使用など)
☑ 2kgほどの買い物をして持ち帰るのが困難である。(牛乳パック2本)
☑ 15分くらい続けて歩くことができない。
☑ 横断歩道を青信号で渡りきれない。
ロコモーショントレーニング(ロコトレ)
開眼片脚立ち
とてもシンプルですが、片脚立ちでバランスをとるトレーニングになります。
バランスだけでなく片脚で支持をする筋力・筋持久力の向上を狙えます。
転倒のリスクを避けるため、捕まるものがある場所で行いましょう。
浮かせる脚はとくに決まりはありませんが、余裕のある方はなるべく高くし、つま先も挙げてみましょう。
そうすることで歩き出しのつま先をあげる練習にもなり、転倒予防につながります。
さらに余裕がある方は、バランスをとる支持側の足裏の感覚に意識を向けてみましょう。
バランスをとりながらも、足裏の外側・内側・つま先側・かかと側など意図的に重心移動をすることによりバランスセンサーに磨きがかかります。
スクワット
もうひとつは「スクワット」です。
ロコモとは、端的に言うと移動能力の低下ですから、大切なのは下半身の筋力。
下半身のもっとも基本的ともいえる種目のスクワットは大切なトレーニング種目です。
肩幅より少し広めに足を開いて立ちます。
つま先は軽く外側を向けましょう。
少し離れたイスに座るようなイメージで、お尻を後ろに引きながらしゃがみ込みます。
上半身は前傾姿勢になってしまって大丈夫。
むしろ上半身が起き上がっていると膝が突き出る形になってしまい、膝関節を傷めることにつながります。
動作中は、膝が内側に入らないように気を付けます。
スクワットが難しい場合には、机などのサポートを利用しながら、イスに座る・立つを繰り返すだけで大丈夫です。
注意点は同じです。
トレーニングは、正しいフォームで行わないとケガにつながります。
医師の診断を仰ぎ、運動が大丈夫であれば今度はトレーニングの専門家に指導をしてもらうことをおススメします。
正しいフォームさえ身につければ、あとはご自身で出来ますからね。
おわりに
65歳以上の高齢者が人口の7%を超えると「高齢化社会」、21%を超えると「超高齢社会」と言われます。
現在の日本においては、都市部でさえも高齢率30%にせまる超々高齢社会です。
しかし、65歳以上の人口が増えていても、健康な方で溢れているなら社会保障の問題なども大きく軽減できるのです。
加齢とともに衰えるのは当たり前。
ですが、一人ひとりの心がけ一つで、高齢率に関わらず健康な社会は作れると思っております。
後期高齢者と言われる75歳を迎えるような方でも、バリバリに運動して趣味の時間を楽しみ、日々充実した生活をしているキラキラした方は大勢いますから。
やむを得ず病床についてしまう方もおられるでしょう。
しかし、そうではなく、今健康である方は、その健康がいつまでも続くような活動を取り入れてみましょう。
コメント