「頑張って運動しているのに痩せない」
「カロリーコントロールしてるのにカラダが変わらない」
もしかするとそれは、腸に問題があるのかもしれませんよ?
「腸活」って聞いたことあります?最近の注目ワードですね。
カラダを変えるには摂取エネルギーと消費エネルギーのバランス…これは間違いないのですが、やはりというかなんというか、人間のカラダは単純ではないのですね。
運動や食事制限の効果が出ないという方、一度腸を見直してみましょう。
腸活…その本質とは
腸活の本質とは「栄養の質」を高めることです。
最近注目されている「腸活」には、じつにさまざまなものが存在します。
「乳酸菌をとる」「腸デトックス」「美腸ヨガ」などなど、どれも腸活ですね。
しかし、健康を支える「腸内環境に最も影響を及ぼすもの」は、食べ物=栄養。
人間のカラダは、一見形を変えずに存在し続けているように思えますが、37兆個とも言われる細胞レベルでは絶えず分解と合成を繰り返しています。
そしてその細胞は、食べたものが分子レベルまで分解されて合成されているのです。
つまり、食べ物の「質」は、細胞の「質」を決めると言っても過言ではないのです。
ゆえに食べ物が腸内環境に大きく影響するのですね。
自律神経と副腎
栄養に触れる前に、自律神経と副腎について知ると、より腸活を理解しやすくなります。
少し脇道にそれるような気がするかもしれませんが先に学んでおきましょう。
自律神経とは
自律神経とは、交感神経と副交感神経からなっており、それぞれ反対の作用を持ちます。
交感神経は、危機回避や活動時に活発になり、緊張・興奮・血圧上昇・体温上昇などを引き起こし、消化器官は「抑制」に働きます。
副交感神経はその逆で、優位になると緊張がほぐれリラックスにつながります。
血圧も体温も下降し、消化器官は「活発」に働くようになります。
現代は交感神経優位の状態の人が圧倒的に多く、それが様々な不調につながっていると言われています。
交感神経が優位ということは消化器官が抑制されます。
ということは腸内は…?
副腎について
副腎は、生体内環境を保つために重要な臓器で、機能低下は生命の維持に関わると言われています。
血糖や血圧、水分量、塩分量などの体内環境をちょうどよい状態に保つための臓器なのです。
この副腎からは、代謝を制御する「コルチゾール」や筋肉の増強に関わる「アンドロゲン」、脂肪分解に関わる「カテコールアミン」といったホルモンが分泌されます。
しかし、長期間強いストレスにさらされると「副腎疲労」という状態に陥り、これらのホルモンの分泌が不十分になります。
カテコールアミンが脂肪細胞のレセプターにくっつくことで、脂肪は分解へと向かいます。
副腎疲労でカテコールアミンの分泌が低下してしまうと、脂肪の分解がうまく行われないので、カロリーコントロールしてるのに痩せないという方はこれに当てはまるかも知れません。
副腎疲労の症状としては、慢性的な疲労感や不眠・肥満・アレルギー・精神不安定・食欲暴走・便秘などなど多岐にわたります。
副腎の機能を正常に保つには、腸内環境を得以上に保つ必要があり、腸内環境に最も影響を与えるのは食べ物=栄養。
不調を引き起こす「慢性炎症」「低血糖」
「疲れが取れない」「便秘・下痢」「気持ちが落ち込む」など、カラダの不調は人によって様々。
しかし、どのような不調にも関係しているものが「慢性炎症」と「低血糖」と言われています。
慢性炎症や低血糖を引き起こす栄養状態は、腸内環境も悪化させ、カラダの不調につながるのです。
逆に言うと、慢性炎症と低血糖を防ぐような栄養状態に持っていけば、カラダの不調も快方に向かっていくということ。
対症療法の西洋医学ではなく、原因療法の東洋医学の考え方ですね。
慢性炎症とは
慢性炎症とは、炎症状態が長引き、緩やかに細胞にダメージを与え続ける状態をさします。
じつは炎症自体はカラダにとって必要な反応です。
「ケガをする」「ウイルスに感染する」、そうすると、ケガをした場所が炎症を起こして腫れたり、ウイルスを殺すために熱が出たりと、炎症反応が起きます。
炎症が起きている最中はつらいものですが、生きるために必要なことでもあるわけです。
しかし、ケガが修復あるいはウイルスがいなくなった後、本来であれば治まるはずの炎症が長引いてしまうことがあるのです。
それを慢性炎症と言います。
慢性炎症が続くと、抗炎症作用のあるコルチゾールが常に分泌される状態となります。
これは自律神経で言うと「交感神経優位な状態」が続くということ。
そして、交感神経優位な状態とは、内臓機能が抑制された状態ですから、腸内環境が悪化するのは目に見えていますね。
小腸の慢性炎症「リーキーガット」
小腸で起こる慢性炎症を「リーキーガットシンドローム」と呼びます。
食べ物の消化・吸収に大きく関わる「小腸」は、じつはこの慢性炎症がもっとも起きやすい部位でもあるのです。
正常な小腸の上皮細胞は、異物やウイルス・細菌が体内に侵入しないように隙間なく閉じられています(タイトジャンクション)。
このタイトジャンクションが開いた状態=リーキーガットシンドロームが続くと、異物、ウイルス・細菌の侵入を許してしまいます。
そうすると、常に免疫系等が働いている状態が継続され、慢性炎症が続いてしまうのです。
リーキーガットを引き起こす原因として、未消化の食べ物が小腸の上皮細胞を傷つけてしまうことがあります。
また、小麦製品によく含まれる「グルテン」もタイトジャンクションを破壊する原因になります。
そして、牛乳に含まれるカゼインも、炎症性のサイトカインというホルモンを分泌させ、炎症を引き起こします。
低血糖とは
ここでいう低血糖とは、血糖値スパイクや機能性低血糖のことです。
長時間食事を摂らずに運動して、エネルギー源である糖質が不足している状態も低血糖といいます。
しかしここでは、血糖値が急激に上昇したあとに急下降する状態をさしています。
食事の間隔や食事の質によって、食後の血糖値が急激に上昇すると、血糖値を下げるための「インスリン」が大量に分泌されます。
すると今度は血糖値が急下降するのです。
インスリンによって血糖値が下がること自体は自然な反応ですが、「急」下降してしまうのが問題。
本来、血糖は活動のためのエネルギーですから、血液の中にある程度残しておきたいもの。
しかし、インスリンの大量分泌によって一気に細胞に貯蔵され、血中の糖が足りない状態=低血糖を引き起こしてしまうのです。
その結果、カラダは、脳や内臓のエネルギーが不足していると認知するため、コルチゾールを分泌し、体脂肪や筋肉を分解して血糖を作り出します。
これが進行すると、血糖値が低く不安定な状態が続き「慢性低血糖」を引き起こします。
慢性低血糖では、自律神経レベルで言うと、交感神経優位な状態になります。
低血糖を引き起こす要因は
精製糖といわれるものは要注意です。
最も注意するべきは、清涼飲料水などにたくさん含まれる「果糖ブドウ糖液糖」。
吸収が早いため、一気に血糖値が上昇し、その後の急下降を引き起こしやすいのです。
そして、日本人になじみがある「白米」も、食物繊維が取り除かれているためじつは血糖値スパイクを引き起こしやすいと言われています。
食後の楽しみでもある「デザート類」にも気を付けてください。
また、女性の方だと経験もあるかも知れませんが、「過剰な食事制限」にも気を付けてください。
血糖を維持するために使われる「肝グリコーゲン」が不足して、血糖のコントロールが効かなくなるため慢性低血糖におちいりやすくなります。
慢性炎症・低血糖と腸内環境
慢性炎症と低血糖によって、負のスパイラルが引き起こされます。
消化機能を司る内臓の働きが活発になるのは「副交感神経」が優位のとき。
ところが上述した慢性炎症・低血糖状態のときというのはストレスにさらされ交感神経が優位な状態です。
つまり、消化機能は明らかに低下しているということ。
未消化のものは小腸の上皮細胞を傷つけ、リーキーガットを引き起こしたり、悪玉菌の餌になることになり、腸内環境を悪化させます。
慢性炎症や低血糖を引き起こす食事➡交感神経優位➡消化機能低下➡腸内環境悪化➡慢性炎症・低血糖悪化…という負のスパイラルがこれです。
まとめ
慢性炎症と低血糖が腸に悪影響を与え、その原因は食べ物にあることが分かりました。
また、慢性炎症と低血糖は、腸内環境だけでなくあらゆる不調の引き金にもなります。
食べ物の質を改善して、根本から原因を取り除くことが大切です。
次回の記事では、原因を取り除くための具体的な方法論をお伝えします。
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